ウクライナのゼレンスキー大統領のスピーチ全文①【歴史を変えた演説】

ウクライナ

2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻を開始すると宣言した直後の演説です。

ロシア国民に呼びかけたゼレンスキー大統領のスピーチは、国際的にも高い評価を受けていることから、全文を翻訳し紹介することにしました。スピーチライター 蔭山洋介

「今日、ロシア連邦の大統領に電話をかけました。結果は沈黙でした。沈黙はドンバス(ウクライナ東部の都市)にあるはずなんですが。ですから今日は、ロシア市民のみなさんにお話したいと思います。大統領としてではなく、一人のウクライナの市民としてあなたに話しています。 2,000km以上の国境が私たちを分断しています。この国境に沿って、あなたの軍隊、約20万人の兵士と数千台の軍用車両が、駐留しています。あなたたちのリーダーが、他国の領土に一歩前進することを承認しました。そして、その一歩は、ヨーロッパ大陸での大規模な戦争の始まりとなる可能性があります。

私たちには、戦争は必要ありません。冷い戦争も、熱い戦争も、ハイブリッド戦争も、必要ないのです。しかし、私たちが(敵)軍に攻撃されたとき、私たちは守ります。私たちの国を、私たちの自由を、私たちの生活を、私たちの子供たちの人生を奪おうとしたときに、守ります。攻撃するのではありません、守るのです。そして、あなたが私たちを攻撃するとき、あなたは私たちの顔を見るはずです。私たちの背中を見るのではありません、私たちの顔を見るのです。

戦争は大きな災害です。そしてこの災害には大きな犠牲が伴います。あらゆる意味においてです。人々は、お金を、評判を、生活を失い、そして自由を失います。しかし、もっとも重要なことは、愛する人を失い、自分自身を失うということです。

彼らは、あなたにウクライナがロシアに脅威を与えていると伝えていました。しかし、過去も現在も、そして未来においてもそんなことはありません。あなたはNATOに安全保障を求めていますが、私たちもまた安全保障も求めています。あなたから、ロシアから、ブダペスト覚書のその他の保障から、です。

しかし、私たちの主なゴールは、ウクライナの平和と国民の安全です。そのために、私たちはあなたを含む誰とでも、どんな形式でも、どんなプラットフォームでも、話をする準備ができています。この戦争は、すべての人から[安全]保障を奪い去るでしょう。もはや誰一人として安全を保障できなくなるのです。この戦争で、最も苦しむのは誰でしょうか?市民です。もっともそれをしたくないのは誰でしょうか?市民です!それを止めることができるのは誰でしょうか?市民です。しかしその市民に、あなたは含まれているでしょうか?・・・私は信じています。

彼ら[ロシア]が、私の演説をロシアのテレビで放映しないことを知っていますが、ロシアの人々は見なければなりません。そして、真実を理解しなければなりません。その真実とは、戦争をただちに止めることです。手遅れになる前に、です。そして、もしロシアのリーダーたちが、平和のために私たちのテーブルに着きたくないというのなら、おそらく彼らはあなたテーブルに着くことになるでしょう。※1ロシアのみなさんは戦争を望んでいますか?私は、その答えを知りたいと思っています。しかしその答えは、あなたと、ロシア連邦にかかっています。」

※1 平和を望まないリーダーは、あなたの平和を脅かすという意味だと思われます。

※2 英語からの2次翻訳なので、少し粗いかもしれません。日本語としての自然さを優先しています。

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