スピーチライターになるために必要なスキルを可視化しました。
真ん中に基礎教養、表現があって、同心円状にライティング、クリエイティブ、コミュニケーション、ビジネスという領域が広がっています。
これを満遍なくやるか、どこかに特化してやるか人それぞれですし、全部やる必要があるかどうかは、何とも言えないのですが、少なくとも僕は全部やっていることで、とても強い競争力と高いコンサルティングフィーを獲得しているので、全部やったらいいとは僕は思いますが、その全体像について説明していきたいと思います。
まず、この図の見方ですが、真ん中の「基礎教養」と「表現」はインプットで、周りのライティング、クリエイティブ、コミュニケーション、ビジネスは、アウトプットのスキルなんです。
だからまずは、インプットを高めた後で、スキルを身につけていった方が段取りはいいだろうなとは思いますが、逆の順番もあって、ある程度真ん中をやった後に外側をやって、内側をやるのも全然悪いことではないので、外と中を行ったり来たりすることになると思います。
まずは真ん中から説明していきます。
基礎教養、表現
基礎教養から説明しますと、まず「リベラルアーツ」。基礎教養とリベラルアーツの違いですが、日本語では同じことを意味すると思うんです。
ここでいう基礎教養は、リベラルアーツのほかにも、テクノロジーや自然科学、コンセプトワーク(言語を動かして物事を考えていく基礎的な体力)なども含まれています。
コンセプトワークは、言語やコンセプトを動かして、ああでもない、こうでない、とやっていくスキルのことです。
一方右側は、文学、映画、アートなどの表現ジャンルがあります。
「人間とは何か」「世界はどうなっているのか」そういったことをリベラルアーツ、基礎教養、自由人にふさわしい教養、技術(アーツ:技術の意味)というのがまさに問われてくるんだろうと思います。
右側も基礎教養なんですが、ダンス、演劇、映画、アニメなどが、あまり教養と思われていない節もあるので、敢えて、「表現」とまとめ直しています。
だから、どちらかというと、左側が真面目で、右側がより一般消費しやすいもの、表と裏みたいな形で、ここでは定義しています。
ディレクション(基礎教養内4番目)は、クリエイティブに入れてもいい気はするんですけど、総合的なものなので、何とも言えないで中に入れているんですが、総合演出、総合スライド映像制作技術、みたいに置いてもいいような気もします。
ライティングスキル
ライティング25%のうち、論理力、構造化力、構成力が重要になってくると思っています。
プレゼン、スピーチ、脚本、コピー、セールス、プレスリリース、PRは、具体的な個別スキル、それぞれに書くコツはあるんですけど、これ自体は練習したらみんな書けるかなと思ったりしています。
でも、それを支えるための論理力、構造化力、構成力は、訓練していかないと身に付かないので、訓練し続けるという意味では、下に置いてある3つの論理力、構造化力、構成力がすごく重要な形かなと思います。
ちなみに、構造と構成がごっちゃになっちゃうんですけど、構成は起承転結にうまく動作している。構造は、善悪、生死、貧富、など物語を作っているための外側の構造です。
それを構成するとストーリーになっていくので、この構造化というのがライティングの醍醐味というか、ほとんどこれで決まるので、まずこの構造化を丁寧にやる必要があるんですけど、あまり訓練されてないことなんですね。
論理力は説明を端折りましょう。
ライティングの論理力、構造化、構成力と、基礎教養のコンセプトワークの違い
今、僕ライティングの中で、構造化・構成してるんですが、実際は構造化・構成したものの、ライティングの影響がスライドでは演出や話し方やコミュニケーションやビジネスに全部影響しちゃうんです。
だから、ライティングの構造化・構成って書いてるのは、実は基礎教養の中のディレクションにささっているので、同じっちゃ同じです。
スライド・映像
スピーチライターという仕事は、原稿だけ書いていればいいということは、まずありえなくて。
というのは、スピーチっていっても、イーロンマスク、アップルのティム・クックは、プレゼンテーションを見ていて明らかなんですが、必ず背景にグラフィックが入っています。
つまり、クラシカルなスピーチは極めて稀で、正直マーケットとしてはとても小さくなっていて、入学式の祝辞など特別な場所だけになっているので、それってやはりビジネスというよりは、アカデミックなエリアだったり、あまり目立たないところになってきています。
普通のスピーチにしても、例えば、オンラインで繋ぐ、とかっていうと、映像が差し込まれたり、スライドが差し込まれたりが、当たり前になっているので、
スライド制作、映像制作の基礎的な技術、基礎的な技術といっても、他を圧倒する基礎的な技術、
他を圧倒するとは、専門家のCGデザイナーとかデザイナーほどではないにしても、世の中の社員、例えば、日本で最も優秀な企業の経営企画の人たちが作るスライドやコンサルタントが作るスライドよりはマシなものを作れないと、話が始まりません。
だから、それぐらいのことは、スライド制作と映像制作ではやった方がいいなと僕は思っています。
自分で作らないにしても、他のデザイナーさん、クリエイターさんに頼む時に何をどうすれば、こういうアウトプットができるというイメージは、ある程度知識がないと務まらないので、自分で学んでおくのは大事です。
物事を図解する力が求められます。
演出
僕が2011年に『パブリックスピーキング』という本を出版した時には、演出の方が重たかったのですが、10年経つと、スライド・映像の方が重くなりました。
演出は、リアルでスピーチをする時に、どういう照明、どういう演出、大道具、美術を使い、メイク衣装を使い、小道具を使うのか。
この間もパネルディスカッションのパネルを作りましたが、小道具を用意したりすることで、コミュニケーションのスタイルが変わってきます。
だからそういうものを大きくします。
キャスティングも重要で、お客様の声を、スピーカーが自分でこんなこと言ってましたとプレゼンするより、実際に映像で撮って流す方が効果的だったりしますから、演出面は、とても重要であることは間違いないんです。
たくさん勉強した方がいいと思います。
話し方
スピーチライターなので、ライティングができるだけでもいいんですけど、スピーチの専門家ってそんなにいないので、やっているとほぼ必ず、話し方も一緒にやりたいという話になります。
アップセルしたくて、納品が終わりましたが、このままだと良いプレゼンになりません。是非一度、トレーニングさせてくださいというオファーはきます。
トレーナーを専門に雇ってもいいんですが、正直あまり信用できるトレーナーはいないんです。発声法の専門家はいるし、美しい音読の仕方の専門家はいるんですけれど、プレゼンテーションのトレーナーは、あんまり見ないんです。
音楽性
言語の音には、音律やリズムがあります。
豊かにすると豊かに聴こえるし、単調にして小さな声で喋ったら、単調な小さな雰囲気になります。
どっちも表現としてはあり得るんですけれど、
例えば、喪黒福造さん(「笑ゥせぇるすまん」)
この世は老いも若きも男も女も 心のさみしい人ばかり そんな皆さんのココロのスキマをお埋め致します いいえ、お金は一銭もいただきません お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます
すごい抑揚つける音楽性の高いものもあれば、
「山田くんとLv999の恋をする」というアニメの山田くんは、
そーっす。いえ。別に。
みたいなことしか喋らないんですが、これもこういう音楽性です。
それぞれに合った音楽性を色々引き出しを持つと、豊かにしゃべれるなと思って、音楽性が入っています。
スピーチって話す言葉なので、音楽を聴くように聞きやすい原稿だと聴きやすいです。有名なところで言うと、オバマのスピーチは、素晴らしい韻律の豊かな話し言葉になっていますし、トランプさんはプロレスのアジテーションすごい効いた話をされるので、それぞれ話し方と音楽性があると思います。
コミュ力
コミュ力はスピーチライターは書くのが仕事なんですけど、聞く力と説得する力、あなたが言っていることをまとめると、論理的にはこうなっちゃいますよとか、あなたが言ってることの本当の意味はこんなすごいことですよね、みたいな、聞いて上乗せして要約して、提案することが常時求められるんです。
だから、コミュ力に対して非常に強いトレーニング等を通してライティングしていくための基礎的なコミュ力というのを身につけるべきだと思いますね。
自己開示力
自分がリラックスしないと相手が緊張するんです。だから相手が緊張していると、本音が出てこない。相手がこの人だったら本音で喋っても大丈夫だっていうふうに思わせるためのリラックス力みたいなことが自己開示力と呼んでいます。
だから、犬と仲良くなったりとか、子供と仲良くなったりするスキルのことを多分ここでは言っています。
ビジネス
全体の4分の1を占めます。ビジネスしてほしいなとは思います。
特に自分で、今度は自分でスモールビジネスを持っているのが一番強いとは思いますが、もう持っていなかったとしてもブランディングPR、コーポレートコミュニケーションの3つは随時、僕らスピーチライターが前線に立ってリードしていくものなので、ぜひそれが何なのかということは覚えておいてほしいなと思います。
そのスピーチライターって、経営者、PR担当の方、秘書室の方とコミュニケーションをとることも多いので、企業の用語や部署の関係もある程度知っておくとスムーズです。
投資家とのコミュニケーションもあるので、ファイナンス周りの言葉、M&A周りの言葉を一通り理解しておかないと、こいつ全く分かってないなっていう感じになっちゃうので、押さえておきたい情報はたくさんあります。
正直、社長さんって、色々な外注先を見つけたいのではなく、1人に信用できる人がいたら、その人に全部投げたいんです。だから本当はいろいろな専門家を混ぜ込んでやった方がいいのかもしれないけれど、そんなハイスペックを求められなかったりするので、気軽に全部頼めて、全部やっつけてくれる。
ハイレベルなことは、時間をかければ、例えば、僕を通して専門家と組んでやれるような状態になっていれば十分なので、これを満遍なくは一回やってほしいな、得意なところは徹底的に伸ばして、得意じゃないところは捨てたらいいと思うんですけど、全体を一応俯瞰するように勉強はして欲しいなとは思います。
スピーチライターに興味のある方は、ぜひこちらの記事も併せてご覧ください。
〈 書籍のご案内 〉
ここまでスピーチライターになるための基本的なトレーニングの方法について解説してきましたが、まだまだ紹介しきれないので、続きは拙著『スピーチライター 言葉で世界を変える仕事』をご案内させてください。
スピーチライターの歴史から、なるための方法まで詳しく書いています。
スピーチライターという日陰の仕事の全貌を、私の体験や資料を細かく調査してまとめました。スピーチライターという仕事を知りたい方は、まずはお読みいただければと思います。
『スピーチライター 言葉で世界を変える仕事』角川新書 Kindle版
そして、もし可能であるなら、スピーチライターゼミをご検討ください。
スピーチライターゼミでは、スピーチライターになりたい人に必要なスキルの、ほとんどすべてを学ぶことができます。スピーチライターゼミは、広報やコピーライター、コンサルタント、起業家など、言葉のプロフェッショナルが集まって切磋琢磨しているコミュニティなので、一人ではくじけてしまいそうな言葉のトレーニングも、仲間と一緒ならがんばることができます。
私が直接添削するだけでなく、仲間同士で批評したり励ましあったりして支えあって活動しています。
スピーチライターを目指すのであれば、スピーチライターゼミがベストだと信じて運営しています。
ぜひスピーチライターゼミでいっしょにがんばりましょう。
〈 25歳以下の皆さんへ 〉
スピーチライターゼミにより参加しやすくするために、25歳以下の方は、月額5,500円(通常:月額11,000円)で参加できるようにしました。
ぜひこの機会に、プロのライティングを学びにきてください。現場の第一線で活躍していくための方法がお伝えできると思います。ご参加、お待ちしております。
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