スピーチライターの鈴木愛美です。
AI社会で生きていくなら、学ぶしかない
生成AIが発達していく社会をこれから生きていく上で、
「AIを恐れるのではなく、利用できるようにならなければ」
「AIに負けないように、人間ならではの強みを生かさなければ」
「AIに仕事を奪われるのではなく、協働するのだ」
漠然とそんなことを考えている方は多くいると思います。
では、そうするために私たちは、
具体的にどうしたら良いの?
そこに、私は1つの答えを提示させていただきます。
「主体的に行動し、主体的に考えて生きろ」
これが答えです。
またさらに漠然とした答えが返ってきた・・・;;
なんて嘆いていませんか。
頑張りましょう(๑•̀ㅂ•́)و✧グッ!
今回は、スピーチライターという立場の私が、言語系生成AIを主軸に、
なぜ「これからのAI社会では主体的に行動し、主体的に考えて生きる」ことが大切なのかを、AIと人間の言語習得方法の違いをふまえながら説明していき、
「主体的に生きるためには、勉強から逃れられない」
という絶望的な結論をみなさんにお届けしたいと思います。
AI社会で主体的に生きることはなぜ重要なの?
そもそも、AIと人間の違いってなんですか?
おおざっぱに言うと「心があるかないか」ですよね。
おそらく、多くの人が「AIはロボットで、人と違って心がないから、その差別化を測るためには、人は主体的でなければいけない」
ということを考えると思います。
全くその通りです。
おそらくみなさんは、この理屈を理解していると思います。
ただ、みなさんがわからないのが「心の有無」による、具体的な違いでしょう。
これがわからないから、その違いで差をつけるために主体的に生きろと言われても、どうしたら良いのか方法がわからなくて不安ばかりが募るのだと思います。
ちなみに、スピーチライターである身としては、「人の心をいかに揺り動かすか」ということが重要になってくるため、
文章を書くにあたって「心の有無」はとても大切だと考えています。
私はライターなので、今回は言語系の生成AIの話をもとに、「心がない」とはどういうことなのか、詳しくお話していきたいと思います。
AIと人間の言語学習方法の違い
ではまず、言語系生成AI(以下、生成AI)と人間の言語学習方法の違いについて、説明していきたいと思います。
学習方法の違いが心の話とどう関係があるの?と思う方もいると思いますが、めちゃめちゃ関係があるので知っていてほしいです。
AIの言語学習方法
ちょっと堅苦しくて退屈ですが「戦を制するためにはまず敵を知れ」とよく言われているので、先にAIの話からしましょう。
AIの言語学習方法をみなさんはご存知でしょうか。
AIは強化学習という方法で言語を習得しています。
強化学習の流れは、
- AIがWebや書籍、論文など、さまざまな物からデータを収集
- 人間が生成AIに文章を作成させる
- 評価モデルを用いて、AIが作成した文章を評価をする
- 評価モデルがAIにフィードバック
- 2に戻る
この流れを繰り返していく方法になります。
こういった過程を何度も繰り返し、教育を受けたAIが最終的にChat-GPTのようなパッケージとして世に出荷される、と考えていただければ良いと思います。
恐らくですが、世に出荷された後も絶えずアップデートを行いAIは賢くなっていっていると考えられるでしょう。
ちなみに、「評価モデル」って何?って思った方もいると思いますが、生成AIが作成した文章を「正確性」「倫理観」「有益性」の3つの軸で評価し、スコアをつけるシステムみたいなものです。
さらに具体的に知りたい方はAIに聞いてみてください。
人間の言語学習方法
敵(AI)のことがわかったら、今度は己の話になります。
みなさん、自分がどうやって今のように言語を操れるようになったか、
具体的に説明できる方、いらっしゃいますか?
恐らく大多数の方が「気づいたら喋れるようになっていた」と答えるのではないでしょうか。
母国語を話せるようになるために、文法を学んだりたくさんの単語の意味を暗記したりはしてないですよね。
その「気づいたら話せるようになっていた」の過程について説明していきたいと思うのですが・・・。
その前に、大前提としてみなさんに知っておいていただきたいことがあります。
それは、「言語は全て相対的なものである」ということです。
例えば、「長い」という言葉があります。
この「長い」は何に対して長いのか、という基準に対する比較で表現されます。
「そんなの形容詞だけじゃない?」と思った方、いらっしゃいますか?
(ー◇ー)”b” チッチッチ
これは固有名詞以外の全ての言語に当てはまります。
動詞もそうです。
「歩く」という動作も、どのスピードまでが「歩く」で、どのスピードからが「走る」なのか「早歩き」なのか、全て相対的に表現されています。
これが、言語の相対性です。
そして、その言語の相対性を私たちは色んな経験を通して学び、自由自在に扱えるようになっていくのです。
この言語の相対性を、経験を通して学んでいくことを「身体接地による学習」と言います。
「身体接地」とは、身体を伴う経験と言語が結びつくことです。
一体何が「歩く」なのか「早歩き」なのか「走る」なのか、
それぞれ全て、私たちが実際に身体を使って経験し、その言語の相対性を真の意味で理解することが、身体接地です。
そして、身体接地による言語習得を行ったとき、
私たちははじめて、その言語を真の意味で理解したうえで使用することができるのです。
みなさん、ついてきてますか?
「いやわからん!」って方のため、具体的に子供が言語を習得するまでの過程を4段階にわけてみてみましょう。
例えば、「可愛い」という言葉を子供が覚える時、
1.大人が使っている言葉の音だけをマネして「カワイイ」と発音する
2.ぶりっこポーズをして「カワイイ?」と聞いてくる
3.自分がカワイイと思った物を指さして、「かわいいねぇ」と感動する
4.「かわいい」と「きれい」どっちが適切か考えて使うようになる
このように、最初は音だけを学び、そのあとに経験から推察して「かわいい」を確認し、
最後に、自分の感情と「かわいい」が結びついた状態で「かわいい」という言葉を実際に使用していくようになります。これが、身体で経験した上で言語を学んでいくということです。
実はこの学習方法、私たちは大人になってからも自然と行っているんですよ。
例えば、時代によって新出する若者言葉ってありますよね。
最近だと「マジ卍」とか。
この言葉を初めて聞いたとき、私は本当に、
「若者ってすごいな」って思いました。
今までだったら絶対にかみ合わなかっただろう「マジ」と「卍」をくっつけて、言葉遊びをする発想が素晴らしいなと思いました。
一方で、いつ使う言葉なのか、そのニュアンスは全くわからず・・・・。
でも言葉として気に入ったので、使ってみたくてまず、
- 友達とふざけながら「マジマンジ」という音を繰り返すという作業を行いました。
- そして次に、適当にそれっぽい状況で「マジ卍」という言葉を使っていき、正しい使い方、間違った使い方を周囲の反応を見て判断しました。
- その積み重ねの結果、最終的に適切な状況と最適な自分の感情の動きに合わせて「マジ卍なんだけど」と、使えるようになりました。
この過程、さっき赤ちゃんが「カワイイ」を習得した時と同じ流れですよね?
この、感情と結びついた状況で言語を使えるようになるということが、人間の言語習得になります。
人間の言語習得には心が伴わないと成り立たない
以上の、人間の言語習得をふまえた上でもう一度AIの言語習得について見てみましょう。
AIの言語習得の流れは、
- AIがWebや書籍、論文など、さまざまな物からデータを収集
- 人間が生成AIに文章を作成させる
- 評価モデルを用いて、AIが作成した文章を評価をする
- 評価モデルがAIにフィードバック
- 2に戻る
この流れを繰り返していく方法です。
これ、人間の言語習得のステップ2までのことしか行われていないの、わかりますか?
自分の立場や感情に合わせて言語を使用するという作業が行われていません。
これが、人間とAIの言語習得における決定的な違いだと言えるでしょう。
そして、人間の言語習得には「心」が伴わないと成り立たないということがわかると思います。
AIと人間の役割分担
以上の説明をふまえて言えることは、AIに心が宿らない限り、AIは絶対に人間の言語能力を超えることはできないということです。
しかし、みなさんが知っている通りAIの学習能力は凄まじいです。
私たちが一生かけても学びきれないことを一瞬で学習し、知識として蓄えています。
だから私は、AIと人間でしっかりと役割分担を行うことで、より良いものを作るべきだと考えています。
AIの得意は、多くの言語を学ぶこと。
とにかく大量の言語をインプットさせることです。なので、その部分はAIに任せて良いと思います。
一方で、人間の得意は言語と身体を接地させて、心の通った言語にすることです。
その心の通った言語の中から、今の自分の感情を適切に表現する言葉を選ぶこと、
人の心に響く言葉はどれなのか、想像して考えて選ぶこと、
これは人間にしかできません。
主体的に生きることと、身体接地
つまり人間は、どれだけ多くの言語を身体と接地させるかということが重要になってくるわけです。
身体と言語を接地させるためには、人はたくさんの経験をするしかありません。
毎日ただなんとなく生きているだけでは経験を増やすことはできません。
常に自分で考えて、行動していくことが大切です。
これが、AI社会で主体的に生きることが重要な理由です。
そして、この身体に接地した言語をどれだけ増やし、操れるようになるかということが、これからのAI社会で生きるライターにとって最重要であると、私は考えています。
主体的に生きるためには勉強から逃れられない
これからのAI社会でライターとして生きていくため、身体に接地した言語増やそう!と思ったとき、
私たちは主体的に生きなければいけません。
自分で考え、行動しなくてはいけない。
そうするために、やらなければいけないこと。
それは勉強です。
「勉強」
人によっては絶望ですよね。
生粋の勉強嫌いの私はもう、急性お勉強中毒待ったなしです!
この言語学習方法の話も、ゲロ吐きながら調べて勉強してまとめたのですが、
初稿で「わかりにくい!面白くない!」と強烈な平手打ちをくらい、
その後嗚咽をあげながら今の形に書き直しました。
勉強するって本当につらい・・・。
人に伝えるってマジで難しい・・・。
ただ、勉強とは言っても、今私たちが学ばないといけないことは、数学とか国語とかではないです。
社会の仕組みや文化、中で生きる人間についての学びです。
それを学ぶことで何がおきるか。
それは、今まで経験してきたことを再度見直すことになります。
(そういえば、こんなことあったな・・・。あれって、こういう社会の仕組みの中でこんな文化を抱えた人間の思想が組み合わさって起きたことだったんだ!)
(そういえば、こんなことしたな。あの時の自分の行動の基盤には、無意識のこんな考え方が関係してたんだ。)
そうやって過去を追想するきっかけを作り、そこで得た新しい発見をふまえて、改めて言語と身体を接地させていく作業を行うのです。
そうして身体接地言語を増やしていくことが、これからのAI社会でライターが生きるために必要なことだと思います。
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