学校の始業式の挨拶を感動的にする方法(小、中、高、大に対応)
始業式の季節です。新しい生活に生徒たちは期待に胸を膨らませていることでしょう。
でもその陰で毎年、「どんな挨拶をしたらいいのだろう・・・」と、頭を抱えて悩んでいるのが校長先生たちは多いのではないでしょうか。
そんなスピーチでお困りの学校の校長先生や学長先生に向けて、この文章を書いています。
期待に胸を膨らませる生徒たちをがっかりさせない、学校トップの言葉に耳を傾ける先生方のために、感動させる始業式の挨拶の作り方を解説します。
明日から使える、始業式挨拶のネタ
始業式は、季節ごとにやってきますので、毎回同じネタで話すわけにもいきません。そのため、校長先生は常に何を話したらいいのかと、ネタに困っています。
始業式の挨拶では、
「生徒たちにどんなことを心がけて、学校生活を送ってほしいか、そのために学校は何ができるか」その教育方針を示すようにすることをオススメします。
そのうえで、話しのネタとして次の内容が挙げられます。
〈通年〉
始業式は、新学期の始まりに相応しく、どんな気持ちで学んでほしいか、感謝することの大切さ、道徳一般がテーマになります。
・学ぶということ
・感謝の気持ちの大切さ
・主体的に学ぶことの大切さ
・道徳一般
〈春、1学期の始業式〉
学期別に見ていくと、各始業式でもニュアンスが違います。4月は新学期になり、クラス替えや担任の交代など変化の多い季節です。新しいことへの挑戦や、チームワークをキーワードにすると良いでしょう。
・新学年になって期待していること
・チームワーク、仲間と一緒にがんばる
・挑戦や成長
〈夏、2学期〉
夏休み明けの始業式は、長い休みに生徒がどんな事をしてきたか、振り返りながら話していきましょう。普段の学校生活よりも、地域や社会の人たちとの触れあいが多いはずなので、社会貢献やコミュニケーションの話題も、生徒が身近に感じやすいと思います。
・長期休みの振り返り
・人の役に立つ
・コミュニケーション
〈冬、3学期〉
3学期は進級、進学や受験を控え、変化が迫っている時期です。そして、とても短いです。ぼやぼやしていたら、あっという間に終わってしまいます。間近に迫った新しい生活に希望を持たせつつ、後悔のしないように努力することを話しましょう。そして学校はどんなサポートができるかを伝えて、進級する学年の生徒に、学校の姿勢を示すことも重要です。
・新年の抱負を持とう
・もう直ぐ進級、進学
・1年の締めくくりの学期(時間はあっという間に過ぎる)
・受験
・学校のサポート
始業式の挨拶を、外さず感動的にするポイント
始業式の挨拶に限らず、スピーチには「ここを守っていれば絶対に外さない」ポイントがあります。それが「挨拶の構成」です。
挨拶の全体の流れや話しの組み立てを構成と言います。挨拶は、多少話し方がたどたどしかったり、活舌が悪くても、しっかりと順を追った構成を立てれば、外さずに感動的な挨拶になります。
挨拶の構成は、次の5つのステップです。
1、自己紹介
2、アイスブレイク
3、フレーミング
4、エピソード ←最重要!
5、締めくくり
5つのステップのうち、4番目の「エピソード」が外さない挨拶をするために最も重要です。一つずつ説明をしていきます。
自己紹介、アイスブレイク、フレーミングはエピソードの前振り
最初の3つのステップは、エピソードへの前振りになります。時間とエネルギーをあまりかけずに、サラッとポイントを話すようにしましょう。
1、始めの挨拶
まず始めの挨拶ですが、ほとんどの学校で「校長先生のお話しです」と紹介されて話し出すことになると思います。ですので自己紹介を長々と行う必要はありません。
例)「おはようございます、校長の○○です。」
くらいで大丈夫です。
2、アイスブレイク
校長先生が話し出すと、生徒たちは否が応でも緊張します。その緊張を解くパートがアイスブレイクです。
緊張を解くために、笑わせる必要はありません。アイスブレイクで気にかけることは、生徒に寄り添い、小さな共感を生むことです。
始業式では、長期休みの振り返りを話せば、生徒は休みの出来事を思い出し、自然と緊張がほぐれると思います。
例)「夏休みは楽しく過ごせましたか? 長い休みの期間は沢山遊んで、楽しい思い出が残っていたら、校長先生も嬉しいです」
3、フレーミング
キャッチボールをする際に、何も言わずボールを投げるのではなく、「いくよー」と声をかけて投げた方が、ボールを受け取る相手はボールをキャッチしやすくなります。
「いくよー」がフレーミングです。フレーミングがあれば、生徒は今から始まる話しの内容を理解しやすくなります。
例)「今日はみなさんに、校長先生が夏休み中に感動したお話しをしたいと思います」
と、一言で構いません。
外さない挨拶の最重要ポイント、エピソードパート!
挨拶の構成でもっとも重要なパートがエピソードパートです。エピソードがしっかりしていれば、外さずに感動的な挨拶になります。
エピソードパートは、実際に起きた具体的な話を、「日常→事件→非日常→解消→新たな日常」の流れに沿って話していきます。
・日常
いつも通りの平穏な毎日の話しです。
例)「学校の中庭に小さな花壇があります。花壇は毎年この季節になると、コスモスやダリアの花が咲いて、とてもキレイです」
・事件
平穏な日常を撃ち破る事件が発生します。
例)「花壇の手入れはいつも〇〇先生がしてくれていたのですが、夏休み中に1週間ほど、どうしても○○先生が学校に来られなくて、花壇の手入れができなくなりました」
・非日常
ここでは、前に起きた事件を何とか解決しようと、困難に立ち向かっている様子を話します。
例)
「どうしようか悩んだ〇〇先生は、だれかやってくれる人いませんか?と相談をしました。すると、3人の生徒が「私がやります」と1週間、花壇の手入れをしてくれると約束してくれたそうです」
・解消
これまで苦しんでいた、非日常の状態が解消された出来事を話します。
例)「今年の夏は大変暑かったですが、3人は1週間欠かすことなく、学校に来てくれたと聞いています。そしてその後も、○○先生と一緒に、花壇の手入れをしています」
・新たな日常
非日常が解消して、事件が起きる前と変わった、新しい日常が始まります。
例)「今年は今までにないくらい、キレイで色とりどりの花が、花壇いっぱいに咲いていますね。みんなにお花を楽しんでもらいたいという思いが形になったんです。素晴らしいですね。」
最後は長くならないように、シンプルに締めくくる
エピソードを話し終わったら、エピソードから考えられる意見を話して締めくくります。
注意をしたいのは、延々と意見を語ってしまうことです。特に気持ちのこもったエピソードを話した時ほど、長々と想いを語りたくなるものですが、話しが間延びしてしまい、せっかくの感動も白けてしまいます。
締めくくりは出来るだけシンプルに短い時間で終わらせましょう。
例)「なぜ3人の生徒は、せっかくの夏休みに、それも夏の暑い日に、毎日学校に来て花壇の手入れが出来たのでしょうか?」
「それは3人が自主的に「自分がやります!」と言ったからだと思います。自分達でやろうと決めたら、暑いとかきついとか、嫌なことでも乗り越えていけます」
「でもこれが、先生たちに無理やりやらされたことだったら、毎日続かなかったかもしれませんし、綺麗な花が咲くことも無かったかもしれません」
「自主的に花壇を手入れしてくれた3人は、みなさんの中に居ます。自主的な行動は、みなさんにも出来ることです。ぜひ2学期は、何かを自主的に取り組んでもらえたらと思います。以上、校長先生が夏休み中に感動したお話しでした。」
このように構成をしっかりと立てて原稿を作れば、外さない感動的な始業式の挨拶をすることが出来ます。
今年はぜひ、今までと一味違う始業式の挨拶にして頂けたらと思います。
2学期の始業式挨拶例
1 自己紹介
おはようございます、校長の○○です。
- アイスブレイク
夏休みは楽しく過ごせましたか? 長い休みの期間は沢山遊んで、楽しい思い出が残っていたら、校長先生も嬉しいです。
- フレーミング
今日はみなさんに、校長先生が夏休み中に感動したお話しをしたいと思います。
- エピソード
(日常)学校の中庭に小さな花壇があります。花壇は毎年この季節になると、コスモスやダリアの花が咲いて、とてもキレイです。
(事件)花壇の手入れはいつも〇〇先生がしてくれていたのですが、夏休み中に1週間ほど、どうしても○○先生が学校に来られなくて、花壇の手入れができなくなりました。
(非日常)それを聞いた3人の生徒が、○○先生の替わりに1週間、花壇の手入れをしてくれると約束してくれたそうです。
(解消)今年の夏は大変暑かったですが、3人は1週間欠かすことなく、学校に来てくれたと聞いています。それどころかその後も、○○先生と一緒に、花壇の手入れをしています。
(新たな日常)
今年は今までにないくらい、キレイで色とりどりの花が、花壇いっぱいに咲いて居ると思います。
- 締めくくり
なぜ3人の生徒は、せっかくの夏休みに、それも夏の暑い日に、毎日学校に来て花壇の手入れが出来たのでしょうか?。
それは3人が自主的に「自分がやります!」と言ったからだと思います。自分達でやろうと決めたら、暑いとかきついとか、嫌なことでも乗り越えていけます。
でもこれが、先生たちに無理やりやらされたことだったら、毎日続かなかったかもしれませんし、綺麗な花が咲くことも無かったかもしれません。
自主的に花壇を手入れしてくれた3人は、みなさんの中に居ます。自主的な行動は、みなさんにも出来ることです。ぜひ2学期は、何かを自主的に取り組んでもらえたらと思います。以上、校長先生が夏休み中に感動したお話しでした。
コメント