あがり症を克服するには【緊張の仕組みと解決策】

スピーチ上達法

皆さんは、あがり症ですか?

スピーチを人前でする時、多くの人が緊張すると思います。
スピーチライターをという仕事をしているからか、「蔭山さん、どうしたらあがり症は治りますか?」という質問に1000回以上答えてきました。

あがり症は、治るのでしょうか。
治るとしたら、どのようにすれば治るのでしょうか。

結論から言えば、あがり症は治ります。少なくとも、あがり症と呼ばれる人前でスピーチをするときに感じる緊張は問題ではなくなります。

これまで、あがり症に悩んできた多くのスピーカーは適切なトレーニングでほとんど治ってしまいました。

今では、人気講師として活躍していたり、中にはテレビなどのメディアで活動している人もいるくらいです。ですから、ほとんど問題なく治ります。人前に立つ時は、日常的に服薬して挑んでいるというクライアントさんもいましたが、ここで紹介するシンプルな方法で薬を飲まなくても大丈夫になってしまいました。


しかし、いろんな誤解があって、遠回りしてしまうこともしばしばです。

1対1は大丈夫?人前でのスピーチが苦手?

実は、あがり症にはトリックがあります。そのトリックにハマっていると、あがり症が問題になってしまうのですが、本当はあがり症は問題ではないかもしれません

「なに、訳のわからないことを言い出すんだ。人前で話すときに緊張することをなんとかしたんだから、あがり症が問題なんだ」と反論したくなるかもしれませんが、あがり症だと思ってしまうその背景に別の問題が潜んでいるかもしれないんです。

一口にあがり症といっても、いろんなあがり症があります。

1対1で話すときに、緊張する人としない人がいます。多くの人は、1対1で話す場合は緊張しません。私に質問される方の大半も「1対1は大丈夫です」と答えられます。

しかし、人前に出て、例えば100人の前で話すのはどうでしょうか?
多くの方が、1対1と違って、「人前に出て話すのは緊張する」と答えられます。

なぜ、1対1は大丈夫で、人前でスピーチするときはダメなのでしょうか?

あがり症の本質

質問を変えて「就職活動の面接や重要な商談相手と話すとき、緊張しますか?」と質問をしてみます。すると、ほとんどの方は「重要な面談では1対1でも緊張する人」と答えられます。

また、 異性を前にすると緊張する。初対面だと緊張する。
というように、1対1のコミュニケーションでも、人前のスピーチと同じように緊張する場面があることがわかります。

これは一体、何を意味するのでしょうか。
人前で話す緊張と、特別なシチュエーションで感じる緊張は、違う問題なのでしょうか?

答えから言えば、人前で話す緊張と、異性の前で話すときの緊張は、本質的には同じ問題です。その本質的な問題とは、「私は受け入れてもらえるのか?」という不安にあります。

スピーチやプレゼンは、自分の考えや体験を大勢に表明するコミュニケーションです。普段話し慣れた家族に向かうコミュニケーションと違って、言葉に説得力がなければ「こいつはダメだ」とレッテルを貼られて受け入れてもらえないことがあります。人前で話すという行為は自分の評判に直結するので、緊張するのです。

逆に家族と話すとき、親友と話すときは、自分を受け入れてもらえることはあらかじめ予想できるため緊張しません。「ありのまま、少々話し方が下手でも、受け止めてくれるから大丈夫」なので、あがり症になることなく話をすることができます。

人前や、初対面や、異性に対しては、
「相手に好かれなきゃいけない」
「変なことをしちゃはいけない」
「間違えてはいけない」「失敗は許されない・・・」
という不安があるので、緊張してしまうのです。

繰り返しますが、あがり症の本質は、
「他者と私が関わったときに、他者が受け入れてくれるかどうか分からない」という不安から来る緊張感なのです。

あがり症に効く心理療法

あがり症に効くとされる心理療法が、幾つかあります。
ここでは、緊張をマネジメントするトレーニングとして、一般的な2つの方法をご紹介したいと思います。

【ストレスマネジメントの定番ー筋弛緩法】

  1. 横になって、深く深呼吸をしながら全身の力を抜いてリラックスする
  2. 力を抜いたら、今度は逆に全身を力む
  3. お腹、胸、腕、指先、脚、足先まで全部力む(10s程度)
  4. 再び全身を脱力してリラックスする
  5. これを2〜3回繰り返す。

簡単な方法ですが、日本の臨床心理の現場や、俳優トレーニングの基礎訓練になっていて、ストレスマネジメントの基礎的な訓練として定番のトレーニングです。

アメリカの大学の俳優トレーニングでも、この方法は採用されていました。

【自己催眠を活用した自律訓練法】

この方法は、少し複雑なので、簡単に紹介します。

  1. 椅子に深く腰掛け、全身の力を抜きリラックスする。
  2. だんだん指先が温かくなるように感じる
  3. だんだん指先がビリビリしてくるように感じる
  4. 額がムズムズしてくるように感じる
  5. 額に風を感じる
 

通常、この方法はファシリテーターの指導の下で行うもので、自分で行うのは少し難しいかもしれません。

この方法を極めていくと、自分の意思の力で蒸し暑くて汗をかいたり、心拍を上げてドキドキしたり、ジェットコースターに乗って全身で風を感じたりできるようになります。ここまで来るとストレスマネジメントのトレーニングを超えています。

上記の筋弛緩法、自律訓練法は、あがり症のトレーニングの定番ですので、取り入れてみてもいいかもしれません。世界中の俳優も取り入れていて、臨床でも現場でも実績があるので、ある程度効果はあると思います。

「緊張する」より問題視すべきこと

しかし、「ある程度」と書いたのには理由があります。

これまでスピーチを成功させるためにたくさんのクライアントをサポートしてきたのですが、上記の方法を採用したことは1度もないのです。しかし、それどころかそんなトレーニングをしなくても、全員、100%、一人の例外もなくあがり症は治ってしまいました

つまり、世間で高く評価されているトレーニングは、多分悪くはないんでしょうが「人前で重要なスピーチをする程度の緊張」のあがり症では、ほとんどのケースで不要だと思われます。最初に遠回りしていると書いたのは、このためです。

ちなみにですが、私は演劇の仕事をしたかったという理由もあって、日本とアメリカで10年間毎日、筋弛緩法と自律訓練法を行ってきました。加えて、これまでに何百回と講演をしてきたのですが、今でも重要なプレゼンテーションやスピーチを行うときは緊張します。しかも、すごく。。。

ということは、10年毎日トレーニングを行って、かつスピーチやプレゼンテーションをしまくっても、「重要なスピーチでは緊張する」ということでもあります。

ですから、「人前に立つと緊張するんです」と相談されると、「まあ、そりゃそうですよね」と私はいつも思います。だってプロでも緊張するんですから。

ということで、「緊張すること」を問題にするのはやめた方が無難です。

どこかにすごく便利なあがり症克服の方法があるかもしれないんですが、10年やってもダメなんですからなかなか大変です。それよりもっと本質的にあがり症を克服する方法、つまり、緊張しても失敗しない人前で話す方法があれば、それでよくないですか?

大切なのは、スピーチで成功することであって、何があっても緊張しない強い心を作ることではないはずです。

コミュニケーションをスポーツのように訓練する

あがり症を克服するためには、緊張でパフォーマンスが落ちないようにすることが大切です。緊張すると、頭が真っ白になっていろんなことができなくなるからです。

そのためには、練習が一番です。
スポーツでも試合では緊張しますよね?パフォーマンスが下がらないようにするために、緊張しても実力を発揮できるようにするために繰り返しの練習と、良いイメージを持って本番に臨めるようにするためのイメージトレーニングが欠かせません。

コミュニケーションにも、それと全く同じ方法が採用できます。コミュニケーションを練習するというのは何だか意外に思われるかもしれませんが、営業さんは繰り返し営業トークのロールプレイをして訓練していますし、ナンパ師や講師も特殊なコミュニケーションの訓練をして成果を上げられるようになっていきます。それと同じで、コミュニケーションは訓練可能なんです。

ところが、スポーツと違って、スピーチやプレゼンテーションは訓練可能なんだという前提がなぜだか抜け落ちて、少しの練習で臨もうとします。スポーツで成果を上げるためにはたくさんの訓練とトレーナーによる適切なサポートがなければ、まず勝てないと思うんですが、スピーチは、そんなに苦労しなくても勝てるんじゃないかという思い込みが、なぜかあるわけです。

ですから、その思い込みを取っ払って、アスリートのようにスピーチの準備と練習をするんです。そうすると、嘘のように緊張に打ち勝てる身体と言葉が扱えるようになります。

クライアントの中には、人前に立つには必ず緊張緩和のために薬を飲んで臨んでいたという方が何人かいました。ですが、トレーニングによって薬の力に頼らなくてもスピーチができるし、多くの拍手や共感をもらえるようになりました。

では、その方法を簡単に紹介しましょう。

具体的なあがり症克服のトレーニング方法

あがり症のトレーニングは、3つのステップで考えます。超シンプルです。

1. 原稿の準備
2. 声に出して読んで書き直す
3. 絶対大丈夫と思えるまで練習する

たったこれだけです。順番に見ていきましょう。

原稿の準備

スピーチには原稿が書かせません。原稿なしで話せる人もいますが、あがり症の人にとって原稿は天から垂れる蜘蛛の糸のように大切な希望です。

まずは原稿を書きます。どうやって原稿を書くときの注意点があるのですが、これを伝えるには1冊の本みたいになってしまうので、拙著『パブリックスピーキング』あたりを参考にご準備ください。

声に出して読む

原稿ができたら、声に出して読んでみます
読むと、不自然な言い回しや何を言っているのかわからないところが出てきます。それをしらみつぶしに直していきます。始めに書き上げた原稿が、書き直しながらほとんど原型をとどめなくなることもよくあります。

その理由は、話し言葉と書き言葉の違いによります。頭で考えた言葉はどうしても書き言葉になってしまうからです。何度も声に出すことで、声に出してもわかりやすい原稿に仕上げていきます。

絶対大丈夫と思えるまで練習する

これがもっとも大切なんですが、原稿を書いたら練習をして覚えなければなりません。

この時間がものをいいます。あがり症で悩んでいる人が3分程度の完璧なスピーチをしなければならない場合、多くの人はその練習時間の想定を大きく外しています。

1時間か2時間も練習すれば十分だと思うかもしれませんが、原稿を読み上げて良い場合を除いて、これまでの経験から8時間くらい必要だろうと思います。

まず、おおよそ詰まらずに読み上げられるようになるのを目標に練習をして、次に「えー、あー」や詰まってしまう箇所を0箇所にしていきます。

できれば、スマホなどで録音して、自分のスピーチに不要な言葉や間がないか確認してみてください。大抵がっかりする結果になると思います。

次に、全く詰まらなくなったら、今度は感情を込めて、かつ自然にコミュニケーションができるように練習を何度も重ねていきます。

スピーチに慣れていない方であれば、3分でもここまでやるのに8時間くらいは普通にかかってしまうと思います。1時間練習して、頭が真っ白になるのはごく自然なことです。それくらいでは緊張の高波にさらわれてしまいます。しっかり練習して本番に臨みましょう。

これで、あがり症の影響を最小限に抑えて良いスピーチできるはずです。

本当にたったこれだけなんです。
当たり前のことといえば当たり前のことなんですが、練習量を超える心理療法というものはありません。心理療法が効果を発揮するのは、練習することさえ困難な病的なレベルでのトラウマのようなものを抱えている場合です。
そうでなければ、シンプルに練習をして緊張することを前提に、その緊張を乗り越えればいいのです。

伝えきれない問題も

ということで、ここまでをまとめます。

スピーチのあがり症は問題ではありません。重要な面談で緊張するように、スピーチでも緊張するのは当たり前です。大切なことは緊張しても、影響を受けないように準備と練習をすることです。

しかし、「もっと楽にあがり症を治せないのか」というわがままな話もあると思うんですが、実際にはあります。しかし、スキーの教則本を文字に書くのが難しいように、あがり症克服の方法をブログにまとめるのはすごく大変なんです。また、この方法で感動的なスピーチができるかというと、これはまたちょっと違う話かもしれません。

もっと楽にあがり症を克服して、さらに感動的なスピーチで拍手喝采が欲しいという方は、入門セミナーをご検討ください。細かなノウハウをお伝えできると思います。

HSP(繊細さん)が問題の可能性も?

極度のあがり症で、スピーチだけでなく、日常生活にも大きな影響があるという方は、HSP(繊細さん)という特別な性質に由来している可能性もあります。HSPを克服する方法は、スピーチのあがり症の克服とは全くアプローチが異なります。

もし、心当たりがあるようでしたら、HSP当事者がどうやって克服したのか、ブログで公開していますので、ぜひ参考になさってください。

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※2020年6月9日に加筆いたしました。

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