コーヒーがよく飲まれるようになった背景を、社会学的な話に寄せてみようと思っています。
なぜかと言うと、みんながおいしいと思うものは何なのか、ということと、
コーヒーにこだわる人が多い理由が合致するからです。
コーヒーを飲むようになるまで
最近、「美味しいとは何か」ということが、価値の方向性を決める上で重要だという話をよくしていたりします。僕ら日本人はコーヒーなどというものは知らないので、緑茶や抹茶とかを飲んでたわけです。
ところが、戦争が終わって、僕らは紅茶を飲むようになります。
コーヒーも飲むんですが、美味しいコーヒーというのはアメリカも含めて、なかったんです。スターバックス以降に美味しいコーヒーが誕生するんですが、それまでは粉コーヒーが一般的に家庭で飲まれていて、おいしいドリップコーヒーなどというものを飲むようになったのは、本当につい最近のことだと思います。
高度成長経済成長期になって、日本の家が畳からフローリングに変わって、お部屋の作りが洋間になるわけですよね。すると、お茶の間がリビングになって紅茶が結構売れる流れができるんですが、コーヒーが今まさに大ブームになってきている訳です。
なぜコーヒーが売れるかというと、そもそも少し前は缶コーヒーやインスタントコーヒーの時代が随分続くんですが、最近はコンビニやマックでさえドリップコーヒーが飲める時代になったわけですよね。これもコーヒーブームに火をつけているんですが、コーヒーが非常に強くなってきたのはやっぱりライフスタイルの変化と合わせて考えなきゃいけないと思います。
つまり畳からフローリングになり、そして何かに変わった訳です。だから我々はそれに合う飲み物として、コーヒーを選び、コーヒーの味を堪能するようになってきたわけですね。
コーヒーブームはビジネスとともに訪れた
で、多分なんですけど、本質的な変遷はビジネスなんだと思います。
商売をして誰かとおしゃべりをするとき飲みたいのはどちらかというと緑茶です。
緑茶を飲むとやっぱりおしゃべりをしますよね。
あ、でもそうじゃないケースもありますね。例えば、原稿用紙に向かって縦書きで言葉を繋いでいくような昔の作家や文豪は、多分緑茶がぴったりでしょうね。それは多分、座敷に座って緑茶を飲みながら筆を走らせるというやり方の場合ですね。
紅茶は緑茶と同じで、飲みながら仕事っていう感じじゃないですよね。クッキーと紅茶で楽しい時間をみんなと過ごすっていう感じだと思うんですよ。だから、緑茶も紅茶もどっちかというとコミュニケーションツールなんですよ。
じゃあコーヒーはどうかというと、コーヒーを飲みながら楽しくおしゃべりしたりケーキを食べたりします。
しかしその需要だけではなくてコーヒーの強い味が仕事をしながら少しずつ飲むのにぴったりなんです。パソコンを触りながら横でシアトル系スターバックスのコーヒーを飲んでるスタイルも、いわゆるビジネスっぽいじゃないですか。
つまり、孤独にビジネスをしながら、つまり孤独な作業と向き合いながら人生の苦味をかみしめるっていうライフスタイルにぴったり挟まってる気がするんですよね。
だから多分、緑茶から紅茶、そしてコーヒーへという風に大きく飲み物の中心が変遷していったのではないかとちょっと仮に仮説を立てています。
ということで、世の中が今後どうなっていくかはよくわからないですが、世の中がビジネスを中心に回らざるをえないですし、孤独になっていく社会状況の中では今後もコーヒーが強いだろうと思います。もちろん、紅茶は紅茶で美味しいですけどね。
そして世の中がうまいと思うものの方向性が社会構造の変化によって、家具や味覚までも変化していく典型例として、コーヒーにこだわる人が増えた経緯をご説明させていただきました。
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