スピーチにおける上手で効果的な動画の使い方

演出(小道具、スライド)

小学生でもスマホで動画編集ができる今の時代。

動画は私たちのコミュニケーションの形を大きく変えました。

パブリックスピーキングにおいても同様で、動画を盛り込むことが一つの武器としてすでに一般的です。

しかし、一度立ち止まって考えてみてください。

あなたは動画の使い方を勘違いしていませんか?

動画の落とし穴を学び、うまく活用する方法を考えていきましょう。

百聞は一動画に如かず

なんといっても動画の良さはわかりやすさ、伝わりやすさが向上することです。

話や図を見せるだけよりも伝えたいことのディティールがよりクリアになります。

とりあえずこれ見て!ってやったことありませんか?

見せればイッパツ。それが動画です。

私が教員をしていた頃は、デジタル教科書というツールが授業にとても役立ちました。

5年生の社会科の学習では、デジタル教科書で自動車の製造ラインを工程ごとに動画で見ることができます。

教科書に、写真付きで「この工場では、1日1300台の車が生産されます。」と書いてあっても、

「……(ポカン)。」

「へ~。」

「1300って…どれくらい?」

見たことがなければこういったリアクションになるのは仕方がないことです。

ですが、製造ライン各工程や1台の車ができるまでの早送り動画を見せることで、

「工場めっちゃ広い!」

「なんでドアをつけるのは人じゃないといけないの?」

「これ1つ失敗しちゃったらどうするんだろう。全部止まっちゃうのかな。」

複雑かつ精密に動くロボットアームの秀逸さや、黙々と確実な作業を行う工場の作業員の様子が現場にいるかのように感じられ、感想や質問がどんどん出てきます。

日本の経済発展に大きく寄与した偉大な自動車産業について、動画のおかげで高い関心をもたせることができました。

算数でもそう、図形が動きます。空間認知が苦手な子にとってはとっても有難いことです。

理科でもメダカが受精から孵化するまでの過程が時系列に沿って視聴できます。

本物をずっと見ていられませんから、とても便利です。

ですが果たして、このように動画に任せておけばいいんでしょうか?

動画とあなた。主演はどちらか。

パブリックスピーキングに話を戻します。

結婚式の例で考えてみましょう。

昨今の結婚式披露宴で動画が使われるのは当たり前になっています。

テレビ局に勤めている友達の結婚式では、動画のクオリティが凄すぎました。

二人の馴れ初めをドラマ風に仕立てた動画や本人出演のCMみたいなものもあって、とても面白かったのをよく覚えています。

しかーし!

結婚式の感動シーンといえばやはり花嫁の手紙です。結婚式の感動シーンTOP10という謎のランキングでも常に1位をキープし続けています。

(これこれ。)

ではもし、これが「花嫁の手紙風スライドショー」の動画だったらどうでしょう?

数々の思い出の写真に合わせて花嫁の言葉が綴られています。

朗読付きです。こんなこともあったね。あのときは大変だったね。あんなこと言ってごめんね。

丁寧かつ巧妙に仕込まれた動画はとっても素敵でしょう。

思い出がよみがえってきて涙がこぼれるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。

    

    

花嫁いるやんそこに!!!

   

お手紙のパートは、これまで育ててくれた家族への感謝と、新たな人生を歩む決意をしっかりと言葉で伝えられる大切なシーンです。

動画でスラスラと完璧に、ミスなく、アナウンサーのように朗読されるよりも、いま目の前にいる家族に、時に声が詰まり、時に目に涙を浮かべて、震える声で伝えるからこそ大きな感動を生むし、ゲストまで涙を流してしまうんだと思います。

どれだけ作りこんだ動画でも、ライブには勝てません。

動画は、使えばいいってものではないんです。

断言しましょう。
あなたの生の声が最強です

使われるよりも使いたい真剣(マジ)で。

動画を使うなと言っているわけではありません。

パブリックスピーキングはあなたが主演だということを忘れないでください。

動画にその座を取られないようにしてほしいんです。

使われちゃ駄目だ、
使われちゃ駄目だ、
使われちゃ駄目だ。

では、どうすればよいのでしょうか。解説しましょう。

もし、動画を使うのであれば最大でも3分を限度とします。もちろんもっと短くて構いません。「3分間」といえば、

「カップ麺ができあがるまでの時間」

「ウルトラマンが地球上で活動できる時間」

天空の城ラピュタで、ドーラおばさんがパズーに言い放つ

「3分で支度しな!」

あれは、40秒か。。。

などありますが、状況によって長く感じるときも短く感じるときもありますね。

3分を越えると聴き手は「動画を見ている」状態に入り、あなたのパブリックスピーキングは主演を降板し、頭の外に放り出されます。

逆に言うと、聴き手にとってあまり魅力的ではない動画でも、最悪3分以内なら挽回がきくということです。

それでも3分以上の動画を見せるのであれば、動画と共演する形で自分の生の声で説明を入れるとよいでしょう。

「この場面は、飛行石が光を放ち、空からゆっくりとシータが降りてきてパズーの手に静かに落ちる、出会いのシーンです。」と解説を入れることで、宮崎駿にすべてを持っていかれることを阻止できます。

まとめ

動画は写真よりも情報量が多く、うまく活用できればよりわかりやすくなったり、感動をもたらしたりと、様々な効果をあげることができます。

しかし勘違いしないでください。動画は資料の一部、あくまで脇役です。

あなたの生の声こそが主役であり、最高のエンターテイメントです。

動画を使いこなし、あなたのスピーキングで聴き手の心をつかんでください。

「動画はとんでないものを盗んでいきました、聴き手の心です」という、カリオストロの城状態にならないように。。。

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コメント

  1. いや、おもしろ過ぎるでしょ!

    • Long-Mtさん
      早速ありがとうございます!
      もうネタ切れです!笑

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